大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和35(オ)472 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人弁護士奥田三之助の上告理由第一点の一、二について。

所論にいう被上告人の債務不履行に対する損害賠償とは、ひつきょう金銭債務の

不履行に因る損害賠償に外ならない。しからば、金銭債務の不履行に因る損害賠償

は法定利率による金銭を超えることを得ない筋合であるから(民法四一九条一項参

照)、所論の如き損害賠償は請求し得ない理であり、従つて、原判決が所論いうが

如き意味の損害賠償について言及しなかつたのは当然である。所論判例は本件に適

切のものとは認められない。それ故、所論は採用できない。

同第二点について。

所論の点に関する原判示は、本件事故に因り上告人会社が損害を蒙つたことは認

められるが、右について被上告人に故意過失があつたものとは認められないという

趣意に帰する。そして、所論民法七〇九条は、如何に損害が発生しても、右につき

相手方に故意過失がなければ損害賠償義務の発生すべき筋合のないことを法意とす

るものであるから、原判決が被上告人に所論責任のない旨判定したのは当然であり、

従つて、原判決には所論法令違背のかどありというを得ない。なお、論旨は違憲を

いうが、原判決は前示のとおり、被上告人の故意過失に因つて上告人会社に損害を

被らしめたこと(所論にいわゆる財産権の侵害をしたこと)は認められないという

のであるから、所論違憲をいう点はその前提を欠くに帰するものと言わなければな

らない。所論は要するに、所論故意過失に関する原審の事実認定を非難するか、あ

るいは独自の法律論を展開するに過ぎないものであつて、採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で主

- 1 -

文のとおり判決する。

最高裁判所第一小一法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!